中古マンションに興味はあるけれど、新築マンションに比べて選ぶのが難しそう…と不安に感じていませんか?実は、中古マンションはポイントを押さえて選べば、新築よりも安く、希望条件に合った資産価値の高い物件を購入することができます。
この記事では、マンションの管理会社での10年以上の勤務経験と中古マンションの購入経験があり、宅地建物取引士でもある私が、失敗しない中古マンション選びの基本的な手順とポイントをお伝えします。
中古マンションの購入を考えているけれど、どこから始めればいいの?と迷っている方は、ぜひ最後まで読んでいただけたら幸いです。
ステップ1:中古マンションを探す前に4つの条件を決める
中古マンションの購入を考えたら、物件を探す前に4つの条件を先に決めておきます。
・予算を決める
・エリアを決める
・築年数を考える
・その他、絶対外せない条件を洗い出す
1つずつ順番に解説します。
予算を決める
中古マンションを買う時は、無理のない予算を立てることが重要です。中古マンション購入には、本体価格に加えて諸費用もかかります。一般的に、諸費用は中古マンション価格の約6%〜8%程度です。諸費用も含めたうえで、支払い可能な金額を事前に計算して確認しておきましょう。
また、住宅ローンを利用する場合は、住宅ローン減税の適用要件を満たすマンションを選ぶことをおすすめします。具体的な要件は、下記のとおりです。
【住宅ローン減税の適用要件】
項目 | 条件 |
居住用住宅 | 自分や家族が住むためのもの |
築年数 | 1981年6月1日以降建築、または耐震基準適合証明書取得 |
床面積 | 50平方メートル以上、半分以上が住居 ※1 |
居住開始 | 購入から6か月以内、減税期間中も居住 |
ローン期間 | 返済期間10年以上 |
年収 | 合計所得3,000万円以下 ※1 |
その他 | 親族からの購入でない、他の住宅ローン減税を受けていない |
エリアを考える
予算が決まったら、次は購入するエリアを考えます。
中古マンション購入エリアを選ぶ際の注意点を要約してまとめると以下の通りです
- 交通アクセス:駅やバス停へのアクセスは良好か
- 生活環境:スーパーや病院、公園など生活に必要な施設は充実しているか
- 治安:犯罪発生率が低い地域か
- 教育環境:周辺の学校や教育施設の評判がいいか
- 災害リスク:地震や洪水などの自然災害のリスクは低いか
- 環境騒音・振動:鉄道や道路からの騒音や振動がないか
- 近隣の将来性:新駅や新施設の計画などエリアの発展性はあるか
マンションの場合、立地が全てと言われるほど、場所によって資産価値が大きく変わってしまいます。大手不動産が手がけたブランド力が高いマンションなど一部例外を除いて、駅徒歩10分以内のマンションをマスト条件としておくことをおすすめします。
築年数を考える
マンションの価格は下記の表のとおり、新築から築年数が経過するごとに緩やかに価格が下がっていき、築20年を超えた辺りで価格帯が落ち着きます。
出典:“築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)”. 公益財団法人・東日本不動産流通機構
中古マンション購入にあたり、私が考えるおすすめの築年数は下記の2パターンです。
・築0年〜築10年
・築20年〜築25年
それぞれ詳しく解説します。
築0年〜築10年
築10年以内の中古マンションの場合、部屋が綺麗な状態で購入できる可能性が高いです。リフォームの必要がなくマンションの購入費用以外にお金がかからないところ、購入後すぐに住めるところがメリットです。また築浅物件なので、今後売却を考えた際にも、築古物件より買い手がつきやすく有利といえます。
築20年〜築25年
築20〜25年のマンションの場合、マンション価格を安く抑えられること、リノベーションやリフォームによって自分好みの部屋に変更できることがメリットです。
ただし、建物全体の経年劣化が進んでいるので、適切な管理が行われているか、大きな問題を抱えていないかなど、管理状況をより詳しくていねいに確認する必要があります。また、今後売却を考えた際に、更に築年数が経過しているので、買い手がつきにくくなる可能性があることも頭に入れておきましょう。
その他に絶対外せない条件をまとめる
予算とエリアと築年数が決まったら、その他に絶対外せない条件をまとめます。参考までに、私が中古マンション購入を選ぶ際にあげた絶対に外せない条件は、下記の7つです。
・2階以上
・50戸以上
・60平米以上
・管理人がいる
・土地の所有権がある(借地ではないこと)
・ハザードマップでリスクが低い地域
・駐輪場が2台確保できること(子乗せ電動自転車2台分)
駐輪場以外の6つの条件は、マンションの資産価値が落ちにくい条件にも通じています。中古マンション購入する際は、外せない条件として追加しておくことをおすすめします。
ステップ2:不動産情報ポータルサイトで中古マンションを探す
不動産ポータルサイトで実際に物件を探す
予算、エリア、絶対に外せない条件が決まったら、不動産情報サイトに条件を登録して探し始めましょう。不動産情報サイトで物件を探すときのポイントは3つです。
・複数の不動産サイトに登録する
・気になるマンションを見つけたらすぐに問い合わせをする
・問い合わせをした時に、信頼できそうな担当者かを確認する
1つずつ解説します。
複数の不動産情報サイトに登録する
中古マンション情報は、複数のサイトで同じ部屋が重複して掲載されていることも多いです。しかし、売主が特定の不動産会社にマンションの売却を依頼している場合、限られた不動産情報サイトにしか物件情報を掲載していない場合があります。
希望条件を満たす中古マンション情報を逃さないためにも、複数の不動産情報サイトに登録をしておきましょう。また、希望条件のマンションが掲載されたらすぐに通知が来るように、メールのお知らせ設定をしておくことをおすすめします。
下記の3サイトは、中古マンションの取り扱い数が多いのでおすすめです。
気になる中古マンションを見つけたらすぐに問い合わせをする
人気のある中古マンションは掲載された瞬間に問い合わせが入り、一瞬で成約されてしまう可能性があります。希望条件を満たす中古マンションを見つけた時は、すぐに不動産会社に問い合わせをすることをおすすめします。
私が中古マンションを購入した時は、不動産情報サイトに掲載された日にすぐに問い合わせをしました。そして、物件情報が掲載された週の週末に内覧をして、その場で即決しました。売却時期が半年後と引き渡しまでの期間が長めだったこと、売主さんが売却のための時間をあまりかけたくないという理由で、その当時の物件相場より売出価格が安くお得だったからです。中古マンション選びはスピード勝負だと身をもって経験しました。
信頼できる不動産会社・担当者かをチェックする
中古マンションの問い合わせをする際、気になる点があれば一緒に質問をすることをおすすめします。質問への回答によって、信頼できる不動産会社・担当者かをある程度確認することができます。
もしも、気になる物件の問い合わせ窓口となっている不動産会社や担当者の対応に不安を感じた場合は、別の不動産会社に同じ物件を紹介してもらうことも可能です。中古マンションは、決して安い買い物ではありません。信頼できる不動産会社に仲介をお願いするようにしましょう。
ステップ3:中古マンションを内覧し6つのポイントを確認する
不動産会社に問い合わせをして、特に問題がなければ、すぐに中古マンションの内覧を申し込みます。中古マンションの内覧時に確認するポイントは以下の6つです。
・マンションの建物全体の状況と周辺環境
・共用部分の管理状況
・部屋の内装や設備の状態
・日当たりや窓からの眺望
・収納スペース
・マンション住人
それぞれ1つずつ解説します。
マンションの建物全体の状況と周辺環境
中古マンションの内覧をする前に、最寄駅からマンションまで実際に歩いてみましょう。
人通りが少ない場所はないか、住みやすい住環境かを目で見て確認します。
マンションに着いたら建物を一周し、建物全体で劣化している箇所はないかを確認します。マンション全体を外から眺めてどんな印象かも確認しておきましょう。
共用部分の管理状況
マンションの敷地内に入ったら、共有部分の管理状況を確認します。特に確認すべき箇所を表にまとめました。不動産会社の担当者にお願いして、必ずチェックしましょう。
共用部分の確認箇所 | 確認するポイント |
ごみ置き場 | 清潔な状態が保たれているか |
駐輪場 | 自転車が乱雑に置かれていないか |
郵便ポスト | チラシが散乱していないか |
掲示板 | トラブルや注意書きなどがいくつも掲載されていないか |
部屋の内装や設備の状態
売主が居住中の場合は、入室前にしっかりと挨拶をし、一部屋ずつ確認させてもらいます。
内装や設備で現時点で不具合が出ている箇所はないかをしっかりと確認しておきましょう。
日当たりや窓からの眺望
マンションの日当たりや窓からの眺望は、資産価値に繋がる部分です。特に日当たりについては、「南向き」や「東南向き」を条件にあげる人も多いです。しかし、方角が条件をクリアーしていたとしても、必ずしも本当に日当たりが良いとは限りません。ベランダの前に大きな建物が隣接していると、例え方位が南向きや東南向きであっても、全く日が当たらない場合があるからです。見学の際は、なるべく天気の良い昼間に見学をすること、必ず電気を消した状態でどの程度部屋が明るいか、窓をあけて光を遮る建物がないかをしっかり確認しましょう。
収納スペース
マンションの収納スペースは、購入者の家族形態によって異なるため、現在・将来の家族構成を見据えて必要な収納スペースを事前に検討しておくことをおすすめします。
クローゼットは、縦横の長さだけでなく奥行きにも違いがあるため、可能な限り、収納スペースの中を確認させてもらいましょう。
また、冷蔵庫や洗濯機などの大型家電を新居でそのまま使用する場合は、問題なく設置することができるかも同時に確認しておきましょう。
マンション住人
可能な範囲で、どんな住人が多く住んでいるのかを売主や担当者に確認します。投資目的で賃貸に多く出されているマンションの場合、住人の入れ替わりが激しく少し落ち着かない印象があります。自分が住むマンションの購入を検討している場合は、賃貸に出されている部屋が少ないマンションをおすすめします。
ステップ3:契約する前に4つの重要書類をしっかり確認する
実際にマンションを内覧して、購入意欲が高まった場合でも、契約までに必ずチェックしておくべき重要書類が4つあります。
・重要事項調査報告書
・物件状況報告書
・総会議事録
・管理規約
特に確認するべきポイントを表にまとめました。
それぞれ各書類ごとにチェックポイントを詳しく解説します。
書類 | 確認する箇所 | ポイント |
重要事項調査報告書 | 管理費・修繕積立金 | 金額改定の予定がないか |
大規模修繕 | 適切な時期に修繕工事が行われているか | |
設備状況報告書 | 設備の状態 | 給湯器・キッチン設備などがちゃんと使えるか |
過去の修理履歴 | 部屋内で過去に修理をした箇所はないか | |
総会議事録 | 最近の議題と決議事項 | 適切な管理がされているか・組合収支は健全か |
住民の意見やトラブル | 住民間のトラブルや不満などがあがっていないか | |
管理規約 | リフォームの制限 | 希望のリフォームが行えるか |
ペット飼育の可否 | ペット飼育の条件を確認 | |
共用施設の使用ルール | 駐車場や集会室などを使用する際の運用ルール |
重要事項調査報告書
重要事項調査報告書は、マンションの管理状況や修繕履歴、財務状況などを確認するための重要な書類です。マンションの健全性や将来のリスクを把握できます。
管理費・修繕積立金
毎月マンションの維持のために支払う費用です。月々の費用の把握だけでなく、直近で改定の予定がないかも併せて確認します。
大規模修繕
マンションの維持のために必要な工事です。計画に基づき適切な工事が行われることでマンションを状態良く保つことができ ます。適切な時期に適切な工事が行われているかを確認します。
物件状況報告書
物件状況報告書は、中古マンションを購入する際に、その物件の現況を詳細に記録した書類です。この報告書を確認することで、物件の現状把握、購入後のトラブルや追加費用を防ぐことができます。
設備の状態
給湯器、エアコン、キッチン設備などが正常に機能していることを確認します。
過去の修理履歴
部屋内のどこかで修理されているか確認し、将来の修理が必要な箇所を把握します。他、雨漏りや水漏れなどの重大な不具合がないかしっかり確認しましょう。
総会議案書・総会議事録
総議事録は、年に1度マンションの区分所有者で構成される管理組合によって開催される集会(総会)の議案や決定事項が記載された書面です。
最近の議題と決議事項
全体的にどのような問題があるのか把握します。特に修繕や管理費・修繕積立金の改定についてはしっかり確認しておきましょう。
住民の意見やトラブル
住民間のトラブルや不満点が議題にないかを確認します。トラブルが多い場合、居住環境に影響が出る可能性があります。
管理規約
マンションの管理規約は、マンションの住民が共同生活を円滑に送るためのルールを定めたものです。管理規約を確認することで、マンションの住環境や住民間のルールを理解し、トラブルを未然に防ぐことができます。
ペット飼育の可否
ペットを飼いたい場合、規約で許可されているか確認します。
リフォームの制限
リノベーションやリフォームを考えている場合、規約でどの程度許可されているか確認します。
共用部分の使用ルール
駐輪場や駐車場、共用施設の使用ルールを把握し、自分のライフスタイルに合っているか確認します。
以上が、4つの重要書類の確認すべきポイントです。しっかり確認することで、安心して中古マンションを購入することができます。
中古マンション選びのポイントはしっかりチェックすること
この記事では、中古マンションの失敗しない選び方を4つのステップに分けて、それぞれ重要なポイントを詳しく解説しました。具体的には以下のとおりです。
ステップ1:中古マンションを探す前に4つの条件を決める
・予算を決める
・エリアを決める
・築年数を考える
・その他に絶対外せない条件を洗い出す
ステップ2:不動産ポータルサイトで中古マンションを探す
・複数の不動産情報サイトに登録する
・気になるマンションを見つけたらすぐに問い合わせをする
・信頼できる不動産会社・担当者かをチェックする
ステップ3:中古マンションの内覧時に6つのポイントをチェックする
・マンションの建物全体と周辺環境
・共用部分の管理状態
・内装や設備の状態
・日当たりや窓からの眺望
・収納スペース
・マンション住人
ステップ3:契約する前に4つの重要書類をしっかり確認する
・重要事項調査報告書
・物件状況報告書
・総会議事録
・管理規約
中古マンションは、事前に条件を確認してしっかりチェックすることが重要です。ポイントを押さえれば、資産価値が落ちにくい中古マンションを購入できる確率はぐんと高くなります。
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